歯科衛生士と歯科助手が説明する、むし歯の予防方法とは?
歯科衛生士と歯科助手が説明する、むし歯の予防方法とは?
2022.01.12
むし歯のお話を始める前に、まずは歯の構造についてご説明します!
歯の構造
歯はエナメル質、象牙質、セメント質という3つの硬い組織からできており、その中に神経(歯髄)があります。
これらの組織や神経を含めた歯の全体構造は以下のイラストのようになっています。
エナメル質
歯の表面部分、一番外側の部分です。
エナメル質は歯の組織の中でもっとも硬い組織です。
象牙質
エナメル質の下の層にある組織です。
歯の大部分を構成しています。
象牙質にも神経が通っているので、刺激が加わると痛みを感じたり、しみたりします。
歯髄
歯の中心部に流れる神経が通っている組織です。
歯の痛みを感じるのは主にこの歯髄です。
「歯の神経を抜く」といった場合、これらの組織をすべて取り除くことを指します。
むし歯の大きさと治療方法
むし歯治療は、症状・場所・大きさによって治療方法が異なります。
また、むし歯は英語でcarious(カリエス)といい、その頭文字のCと、むし歯の大きさを数字で表し、C1、C2、C3、C4の4段階で表記されます。
【C1】むし歯がエナメル質のみに出来ている状態です。
症状
症状は無いけど、まれに冷たい物がしみることがあります。
治療法
基本的には様子を見ますが、進行しそうであれば白い詰め物(プラスティック)を詰めます。
【C2】むし歯がエナメル質の下にある象牙質に達している状態です。
症状
冷たいもの(時々熱いもの)がしみます。
歯ブラシが当たると痛みがあったり、食べ物が詰まりやすくなります。
※症状が出ない場合もあります。
治療法
前歯:プラスティックの詰め物をつめます。
奥歯:歯と歯の間にむし歯があれば、型取りをして詰めます。
噛み合わせ部分のみであれば、プラスティックの詰め物をします。
【C3】むし歯がエナメル質、象牙質を貫通し神経にまで達した状態です。
症状
冷たいもの、熱いものが強くしみます。
ズキズキとした痛みがあったり、噛み合わせると痛いことがあります。
治療法
むし歯が神経まで進んで感染を起こしているので、神経をとる必要があります。
神経をとると、最終的には被せものをします。
【C4】虫歯が歯全体に進行している状態です。
症状
うみが出たり、歯ぐきに強い炎症・腫れが出ることがあり、食事時に痛みを感じる可能性があります。
治療法
薬の内服によって炎症をおさえた後、最終的には抜歯になります。
歯を抜いた後は、ブリッジ、入れ歯、インプラント(自費診療)などの治療方法があります。
むし歯は進行してしまうほど治療が難しく、負担が大きくなってしまいます。
では、むし歯にならない為には、実際どのような予防していけば良いのでしょうか?
いくつかある方法の中から、今日は一つだけご紹介します!
むし歯予防の強い味方、キシリトール!
むし歯ができやすくなる原因は、食事やおやつなどを食べた時に口の中に発生し、歯の表面にあるエナメル質を溶かしてしまう「酸」にあります。
その酸と戦ってくれるのが、「だ液」です。
だ液は発生した酸を中和して、虫歯になるのを防いでくれています。
でもだ液の働きは人によってさまざまなので、分泌がよい人や酸を中和する能力が高い人もいれば、そうでない人もいます。
そこで力を発揮するのがキシリトールです!
キシリトールはだ液が活発に活躍できるように働きを促進したり、むし歯の原因となる菌の発生を防いでくれます。
今は、キシリトール入りのガムやキャンディがたくさん発売されていますが、もともとは果実や野菜の中に天然で含まれている自然の甘味料で、人の肝臓でもつくられているんですよ!
キシリトールの3つのむし歯予防効果
- むし歯の発生、進行を防ぐ
むし歯の原因となる汚れを付きにくくし、むし歯になりにくくしてくれます。 - むし歯の原因となる菌の活動を弱める
むし歯原因菌への働きはキシリトールだけの効果です。 - むし歯になりにくい口内環境をつくる
キシリトールは口の中で虫歯菌が出す酸を抑えたり、酸を中和する働きを持っています。また、唾液も出やすくなるなどむし歯になりにくい状態を保ってくれます。
★フィンランドでは、食事の後と寝る前に必ずキシリトールガムを噛むそうです。
小・中学校では食事の時にキシリトール入りのガムを配って小さい時からの習慣づけを行っているそうです!
しかし、キシリトールがあればむし歯を防げるわけではありません。
正しく歯を磨いたり、フッ素の入った歯磨き粉を使ったりすることが大切です。
キシリトールは汚れをはがれやすくし、ブラッシングの効果を上げたり、フッ素と一緒になってより歯を硬くするなど大きな効果を発揮します。
さいごに
むし歯は予防が大切です!
むし歯で痛〜い思いをしなくてすむように、定期的な歯のチェックや、3ヶ月に1度歯にフッ素をぬることをおすすめします!
そしてむし歯になってしまった場合は早めの治療を!!!