歯周病ってどんな病気?
歯周病ってどんな病気?
2022.03.30
硬いものを噛んだときに、歯ぐきから血が出たことはありませんか?
この症状は、歯周病が悪化した状態に起こります。
歯周病は、別名歯槽膿漏とも言われるので、こちらの名前で耳にされたことがあるかもしれません。
歯周病・歯槽膿漏は、歯の周り、つまり歯ぐきと骨の病気です。
この歯周病、実はギネス世界記録に載っているほど、かかっている人の多い病気なのです。
風邪などの他の病気とは違って、極めて初期の症状に気付きづらいため、治療を始めるタイミングが遅くなってしまうのも患者が多い原因の一つです。
痛みや腫れの症状がなくても、知らない間に進行するので要注意です!
歯周病の原因
歯周ポケットには、歯垢(プラーク)と呼ばれる磨き残しが溜まりやすく、溜まった歯垢にカルシウムなどがくっつくと、カチカチに固まって歯石になります。
歯石になってしまうと、家でのブラッシングでは取り除けません。
これを放置していると、歯石の上にさらに歯垢が付着してまた歯石に変化する、といった具合に雪だるま式に増えていくことになります。
歯石が溜まってしまうと、歯石中の菌が歯ぐきに炎症を起こし、歯を支えている歯槽骨という骨を溶かす原因になります。
そしてその結果、歯が抜けてしまう、ということが起きるのです。
イラストのように、正常な人と歯周病の人とでは、外からの見た目も中の状態も全く違ってきます。
また、歯周病の悪化の原因としては、磨き残しの他に、歯ぎしりが上がります。
ギシギシと歯をこすり合わせる歯ぎしりは、歯周病の進行をより早くしてしまうので、歯ぎしりによる過激な力のコントロールも大切になってきます。
歯周病の進行
風邪のひき始めには、「体がだるい」「喉が痛い」「咳が出る」といった症状があります。
しかし、初期の歯周病には、このような分かりやすい症状はあまり出てきません。
ですから、歯周病を悪化させないためには、歯科医院での定期的なチェックが非常に大切です!
初期段階であれば、汚れを取ってしまうだけで、歯ぐきの腫れは治まります。
しかし、歯石の付着が根っこの方に拡大するにつれて炎症の範囲も広がり、治療にも時間がかかってしまいます。
また、重症化すると歯を支える骨が溶けて歯が抜けてしまう、といったことにもなりかねません。
最悪の事態にならないために、歯のチェックを怠らないようにしましょう!
進行の流れ
では、歯周病の進行をイラストに沿ってご説明します。
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1. 歯周ポケットに歯垢が溜まり、硬い歯石に変化してきています。
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2. 固まった歯石の上にさらに歯垢が溜まって、また歯石に変化し、だんだん範囲も広がってきます。
さらに歯石中の菌が歯ぐきに影響し、炎症が起きてしまいます。 -
3. 歯ぐきに炎症を起こした菌が歯槽骨にまで達し、歯槽骨が溶け始めて、歯ぐき自体が下がってきます。
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4. 歯槽骨が溶けて不十分になると、歯を支えられなくなり、歯が抜けてしまうことがあります。
歯周病による影響
これまで説明したように、歯周病は大切な歯を失ってしまう大きな原因となります。
歯が無くなると、噛み合わせが悪くなり、しっかり食べ物を食べられなくなりますが、そうした直接的な影響以外にも、他の病気を引き起こす原因にもなり得ます。
逆に、他の病気が原因となって、歯周病を悪化させている場合もありますので注意しましょう。
歯周病に関係があるとされている病気
⚫︎歯周病が原因になっている可能性がある病気
・肺炎(気管から肺へ菌が行ってしまった時)
・早産・低体重児出産(血管を通じて全身へ菌が行ってしまった時)
・動脈硬化症
・心内膜炎
⚫︎歯周病の原因になっている可能性のある病気
・骨粗しょう症
⚫︎お互いに原因になっている可能性のある病気
・糖尿病
歯周病の治療法
まず予防として大切なのは、歯垢を溜めないことです。
うがいをするだけできれいになるというケア商品もありますが、それだけでは歯垢は取り除けません。
毎日のブラッシングを丁寧にしっかりと行うようにしましょう。
歯垢・歯石がついてしまった場合、この2つが残っている限り炎症が起こり続け、歯周病の進行は止まりませんので、必ず取り除かなければなりません。
歯周ポケットに溜まってしまった歯垢やカチカチに固まってしまった歯石は、歯ブラシでは取り除くことができませんので、歯科医院での専用の器具を使って取ってもらう必要があります。
歯周病の進行具合と、治療に必要な平均的な回数は以下の通りです。
写真を参考に、ご自身の歯が歯周病かどうか、また歯周病の可能性があるならどれぐらいの治療が必要か、見てみてください。
(*治療はお一人お一人に合わせて行うため、治療回数には個人差があります。)
軽度の歯周病(歯肉炎)
歯石:少量で、歯茎が少し腫れている状態です。
歯石取り:2回程度です。
中程度の歯周病
歯石:歯ぐきの中まで付いています。
歯石取り:4〜6回程度です。麻酔が必要になってきます。
重度の歯周病
歯石:歯ぐきの奥深くまで付いています。
歯石取り:6回以上です。麻酔が必要になります。状態によっては歯を抜くことも必要になってきます。
*歯周病悪化の原因である歯ぎしりが気になる方には、マウスピースをおすすめします!
寝ている時の歯ぎしりは、プレートというマウスピースのようなものを使うことで軽減できます。
お気軽にご相談くださいね!
さいごに
歯周病を重症化させないために、歯科医院で定期的に歯と歯ぐきの状態をチェックしてもらいましょう。
また、一度歯周病になってしまった歯ぐきはあまり強くないので、歯科衛生士によるメンテナンスを受けて、健康な状態を保つようにしましょう!